日本の漢方薬が独自に進化を遂げたのは鎖国がきっかけですが、その間薬事法から成分分析や研究が進んだために、中国では処方されないような日本独自の漢方薬ができあがったのです。今ではそのような日本式の漢方薬を求めて中国からの買い付けもあるようです。
漢方医学の特徴は、伝統中国医学と同様に体全体を診ることにあり、症状だけではなく体質を重んじるという特徴があります。
それに対して西洋医学では、解剖学的見地から臓器や組織に病気の原因を求めるという考え方のため、双方は対照的なものとなっています。
個人を重視する漢方医学では、患者一人一人の体質に合った漢方薬が処方されます。
個人と向き合うという傾向がとても顕著だといえます。
長年に渡る耳鼻科への通院や複数の耳鼻科への通院をしても、変わり映えのしない治療や効果の出ない治療を経験された方が、漢方薬での治療に満足度が高いのは、しっかりと個人と向き合った治療をしてくれるからなのだと思われます。
後鼻漏に処方される漢方薬
漢方では後鼻漏を5つのタイプに分類し、後鼻漏の細かな症状によって処方される漢方薬も違ってきます。
1.胃腸の弱りタイプには、健脾散や健胃顆粒など
2.病原菌やウィルスの侵入タイプには苓甘姜味辛夏仁湯や鼻淵丸、頂調顆粒など
3.胃腸と肺の弱りタイプには健胃顆粒や衛益顆粒など
4.熱によって煮詰まるタイプには荊芥連翹湯や星火温胆湯や柴胡清肝湯など
5.腎の弱りタイプには双料参茸丸や八仙丸など
後鼻漏の治療を漢方薬で行っている方の感想を見ても、効果を実感されている方はいらっしゃいます。ただし、症状が随分軽くなったというもので、やはり後鼻漏の完治は難しい事がうかがえます。後鼻漏は完治させることに執着するよりも、どのように付き合っていくかに重点を置く方が精神的なストレスも軽減されるのではないでしょうか。
最後に、実際に漢方薬の服用をご検討される場合は、お近くの漢方薬局で薬剤師にご相談ください。